借地権の売却は「地主への売却」「第三者への売却」「不動産会社の買取」「同時売却」の4つの方法があり、優先度によって正解は変化します。

売却方法 概要 期待できる価格 手続きの早さ 向いている・正解となるケース
地主への売却 地主に借地権を買い取ってもらう 早い ・地主に資金力がある
・土地を完全な所有権に戻したい意向がある
第三者への個人売却 不動産仲介を通じて一般の人に売る 遅い ・建物が新しく、立地が良い
・地主から譲渡承諾を得る見込みがある
不動産会社の買取 専門業者に直接買い取ってもらう 非常に早い ・地主との交渉が難航している
・相続等でとにかく急ぎたい
底地との同時売却 地主の「底地」と一緒に「所有権」として売る 最高 ・地主も土地を手放したいと考えており
・売却益を最大化したい

借地権の売却時や譲渡には地主の承諾が必要で売却価格は更地価格の約60〜70%が目安です。

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
引用:民法第612条

本記事では、売却方法ごとの価格差や費用を具体的な金額例で整理し、判断チャートを用いて最適な売却方法をご紹介します。

価格確認から方法決定、査定依頼までの流れもご紹介するので、借地権の売却に迷っている方はぜひ参考にしてください。

Contents
  1. 借地権の売却方法は4種類
  2. 最適な借地権の売却方法がわかる診断チャート
  3. 借地権の売却方法別の価格差(更地価格4,000万円の場合)
  4. 借地権売却で失敗する人の共通点
  5. 売却までの具体的な流れ【5ステップ】
  6. 借地権売却でかかる費用
  7. 借地権売却に強い不動産会社を選ぶ基準
  8. 借地権売却におすすめの一括査定サービス
  9. 借地権売却時によくあるQ&A
  10. 借地権の売却方法は「優先順位」で決めよう

借地権の売却方法は4種類

借地権の売却方法は「地主への売却」「第三者への売却」「不動産会社の買取」「同時売却」の4種類があります。

売却方法 価格目安 売却スピード 難易度
地主へ売却 更地価格の50〜60%前後 比較的早い
個人へ売却 更地価格の60〜70%前後 通常
不動産専門業者による買取 更地価格の50〜65%前後 早い
底地と同時売却 所有権価格に近い水準 やや時間がかかる

借地権は地主との交渉も絡み、売却条件が複雑な点が特徴です。

以下では各売却方法について具体的に解説します。

地主へ売却する方法

借地権の売却方法で最もシンプルなのは「地主へ売却する方法」です。

問題が発生しにくく、早期売却を見込めるメリットがあります。

項目 内容
メリット 譲渡承諾の問題が発生しにくく、交渉が比較的シンプル
デメリット 市場競争が働かないため価格が低くなる傾向
適しているケース 地主との関係を維持したい場合、早期売却を優先する場合

ただし地主との交渉によっては、売却価格が低くなる可能性がある点には注意が必要です。

売却価格は地主との関係性や取得意向により変化します。

事前に地主の意向を確認し、良好な関係性の維持を心がけてください。

個人へ売却する方法

借地権の売却では、第三者の個人へ売却する方法もおすすめです。

第三者の個人への売却は市場価格に近い水準で時買取が成立しやすい特徴があります。

しかし物件の立地や条件により価格の変動があり、特に「再建築可否」には注意が必要です。

再建築可否 売却難易度 理由
再建築可能 比較的低い 住宅ローンが利用できるため購入希望者が増える
再建築不可 高い 住宅ローン利用が難しく購入層が限定される

再建築不可物件の場合は住宅ローンの利用が難しく、購入希望者が限られます。

また事前に地主への交渉を行い、承諾を忘れず取りましょう。

不動産専門業者による買取

少しでも早く売却したい場合は、不動産専門業者による買取がおすすめです。

売却までの期間が短く、早ければ1か月程度での売却が可能です。

ただし買取価格は市場売却より低くなりやすく、更地価格の50〜65%程度が目安です。

不動産売却時のスピードと価格の対比表

スピードが速い分、価格が低くなりやすいのが特徴です。

早く現金が必要な方は不動産専門業社による買取も検討しましょう。

底地と同時売却する方法

地主との交渉次第では、底地と借地権の同時売却も有効です。

同時売却では別々で売却するよりも高く売れやすいです。

借地権割合が60%の地域にある、更地評価5,000万円の土地を例に価格差を比較した場合、総額で20〜30%高く売れる可能性があります。

区分 単独で売却した場合 同時(所有権)で売却した場合 価格の差(増分)
借地権 約2,000〜2,500万円 約3,000万円(60%) +500〜1,000万円
底地 約500〜750万円 約2,000万円 (40%) +1,250〜1,500万円
合計 約2,500〜3,250万円 5,000万円 +1,750〜2,500万円

売却代金の配分割合や売却方針は事前に地主との調整が必要です。

地主との関係性が良好かつ、少しでも高値での売却を狙う際におすすめです。

最適な借地権の売却方法がわかる診断チャート

借地権の売却は、地主との関係性や物件状況によって最適な方法が変わります。

以下の判断チャートに回答して、自分の状況に適した売却方法を確認してください。

借地権売却方法診断 チャート

Aタイプ:地主への直接売却

Aタイプの方は「地主への直接売却」がおすすめです。

地主が売却に協力的かつ買い戻したいと言っているため、スピード感を持った確実な取引ができる可能性が高いです。

地主の協力度 検討しやすい売却方法 理由
協力的 底地との同時売却
個人への売却
地主の承諾が得られるため市場売却が可能
非協力的 地主への売却
不動産会社買取
第三者売却が難しくなるため直接買取が現実的

しかし地主の提示した売却額が相場よりもやすい可能性があるため、売却価格には注意が必要です。

直接売却の交渉前に、必ず一括査定サイトなどを利用し、相場を確認しておくのが重要です。
▶︎おすすめの一括査定サイト

Bタイプ:底地との同時売却

Bタイプの方は「底地との同時売却」に向けて動くのがおすすめです。

調整次第では同時売却で借地権のみを売却するときよりも高値での売却が可能になります。

権利の種類 デメリット
借地権のみ ・銀行の住宅ローンが通りにくい
・地主の承諾料や更新料が発生する
・一般的な所有権物件より流通性が低い
底地のみ ・自由に土地を利用できない
・地代収入が低く収益性が限定的
・投資家向け市場が中心
・価格は更地価格の10〜30%程度まで下がる場合がある

同時売却では地主との調整が重要です。

特に売り上げの配分比率はのちのトラブル防止のためにも明確にしておきましょう。

2024年4月から相続登記の義務化が始まり、古い借地権の整理を急ぐ地主も増えています。
地主に対し共通の利益を強調して提案するのがおすすめです。

Cタイプ:個人への売却

Cタイプの場合は、個人への売却が適しています。

買い手のタイプ 価格が下がりやすい理由 価格の目安・交渉傾向
買取業者 転売益や運用益を目的に仕入れ価格を抑えるため 市場価格の5〜7割程度
地主 底地を所有しているため、交渉力が強い 地主から安く交渉される可能性がある
一般の買い手 実需で購入するため、地主の承諾があれば取引が成立しやすい 条件が整えば市場価格に近い取引になる可能性がある。

ただし一般の第三者に売却する場合、以下の条件が地主と合意できているのが前提です。

  • 譲渡承諾料(名義書換料): 借地権価格の10%程度
  • 建替え承諾の有無: 買い手が将来的に家を建て替えられる保証があるか
  • 地代・更新料: 買い手が納得できる適正な金額設定になっているか

地主の承諾が得られ、底地との同時売却を行わない場合は個人への売却を検討してください。

Dタイプ:不動産専門業者の買取

Dタイプの方は専門買取業者への売却を検討しましょう。

本来借地権を他人に売るには地主の承諾が必要ですが、地主が首を縦に振らない場合でも専門業者であれば話がまとまる場合があります。

業者であれば買い取り後、地主と底地の買い取りや借地権の更新もビジネスライクに交渉が可能です。

ただし面倒な手続きなどがない代わりに価格は市場価格よりも50〜65%程度に下がる傾向があります。

地主との関係が悪化している場合や、早く現金が必要な場合におすすめです。

>借地権の売却方法の選び方

借地権の売却方法を選ぶ際は「価格」「スピード」「地主との関係」の3つのうち、何を最優先するのかを決めるのがポイントです。

売却手法 価格 スピード 地主の承諾条件 おすすめのケース
地主への売却 低い 非常に早い スムーズに進みやすい ・とにかく早く処分したい
・地主が買い取りに前向き
個人へ売却する 高め 遅い
(半年〜)
地主の譲渡承諾が必要 ・立地や建物条件が良い
・価格を最大化したい
同時売却 高くなりやすい 普通 地主との非常に良好な関係と合意が必要 ・地主も売却を検討している
・売却益を最大化したい
専門業者の買取 中〜低 早い
(数日〜数週間)
業者が地主交渉を代行 ・地主との交渉が難しい
・早期売却が必要

「価格」「スピード」「地主との関係性」はトレードオフの関係です。

価格を優先: 時間がかかる(スピードが落ちる)。
スピードを優先: 相場より安くなる(価格が落ちる)。
承諾条件を無視する: 売却自体が法的に困難、訴訟リスク。

以下では売却方法を判断する際の優先事項別の選び方を詳しくご紹介します。

「価格orスピード」どちらを優先するかで決める

借地権売却では、「価格」と「スピード」どちらを優先するか決めるのが重要です。

優先事項 主な売却・対応方法 メリット デメリット
価格(高く売る) ・地主への売却
・同時売却
市場価格に近い価格で売れる可能性がある ・地主との交渉に時間がかかる
・地主に購入資金がないと成立しない
スピード(早く売る) 専門業者による買取 ・最短数日〜数週間で現金化が可能
・地主交渉も業者が代行
売却価格は市場価格の6〜7割まで下がる傾向がある

高く売るなら「同時売却」、早く売るなら「不動産専門会社の買取」がおすすめ

価格を最も高くしたいなら「同時売却」が有効ですが、1年以上かかる場合もあります。
スピードを最優先に考えるなら、「専門業者に直接買い取り」が最適ですが、価格は市場価格の5〜6割と低い傾向があります。

地主の協力度で決める

地主との関係が良好で、資金的余裕や土地活用の意思がある場合は、「地主への売却」「同時売却」が選択できます。

地主が買い取らない場合は個人や専門業者への買取を検討しましょう。

地主の状態 推奨される売却方法 メリット デメリット
協力的・資金あり ・地主への売却
・同時売却
・高値で売却できる可能性がある
・地主とトラブルも起きにくい
地主に購入の意思や資金がない場合は成立しない
協力的・資金なし 第三者への譲渡 市場価格に近い条件で売却できる可能性がある 地主の承諾が必要で、名義書換料(譲渡承諾料)の支払いが発生する
非協力的・拒絶 ・業者買取 ・借地非訟 専門業者や裁判手続きを通じて売却を進められる 売却価格が下がる可能性があり、法的手続きの費用や時間がかかる

地主の協力が得られない場合は、裁判所への「借地非訟」や不動産専門業者への買取を検討しましょう。
ただし借地非訟は手間や費用がかかり、地主との関係も悪化するため最終手段と考えてください。

物件の市場性(立地・再建築可否)で決める

借地権の売却難易度は物件の条件により変化するため物件の市場性を知るのが重要です。

評価項目 売却しやすい(難易度:低) 売却しにくい(難易度:高)
再建築の可否 ・再建築可能な場合 ・再建築不可物件
立地条件 ・都心・駅近・人気エリア
・所有権が高額なエリア
・郊外・地方・駅から遠いエリア
・土地が安いエリア
地主の承諾 ・円満・売却承諾済み
・名義書換料(譲渡承諾料)が相場
・地主が反対している
・裁判所の手続き(代諾許可)が必要
地代の金額 相場通り 相場より高い
残存期間 ・旧法借地権
・建物がある限り更新できる期待が高い
・定期借地権
返還期限が迫っている

特に再建築不可物件は売却が困難な条件のため、早く売りたい場合は買取業者の検討もおすすめです。

内客方法の検討のためにも一括査定サイトで、相場感や市場性を確認してみましょう。
▶︎おすすめの一括査定サイト

地主との関係を維持したいかで決める

地主との関係性によって必然的に売却方法は絞られます。

地主との関係性 推奨する売却手法 手法のポイント 売却価格の目安
良好・親密 地主への直接売却 ・地主が土地を完全な所有権に戻せる
・双方にとって合理的で成立容易
中(交渉による)
協力・利害一致 底地との共同売却 市場価格に近い条件で売却しやすい
事務的・疎遠 第三者への譲渡 地主に譲渡承諾を得て名義書換料(承諾料)を支払うことで、市場での売却が可能になる。 中〜高
対立・拒絶 裁判所の代諾許可 地主が承諾しない場合でも、裁判所の許可(借地非訟手続き)により売却を進めることができる。 低〜中(法的コスト・リスク反映)

地主と円満な関係性を維持している方が売却価格は高くなりやすい傾向があります。

地主と折り合いが悪いと感じている場合は、売却や買取業者の利用を検討してください。

税負担や取得費の状況を確認して決める

借地権を売却する際は税負担や手残り金のシュミレーションを正確に行うのが重要です。

適切なシュミレーションをせずに売却すると、手元に残る現金が想像以上に少ない可能性があるため注意してください。

比較項目 選択・状況による違い 税金・手残りへの影響 根拠・理由
所有期間 5年以下 vs 5年超 税率が約2倍違う 短期譲渡(39.63%)か長期譲渡(20.315%)かで、手残り変化
取得費の証明 契約書あり vs なし 譲渡所得が数千万円変わることもある 契約書がない場合、「売却価格の5%」が概算取得費となり、課税対象の利益が大きくなる。
居住用特例 適用するvsしない 最大3,000万円の控除 自宅として住んでいた借地権で要件を満たす場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる。
譲渡承諾料 地主への支払い 譲渡費用として計上可能 売却時に地主へ支払う承諾料(一般的に10%前後)を譲渡費用として差し引けるため、課税所得を減らせる。
売却手法 第三者へ売却vs地主へ売却 手取り額の最大化に影響 第三者への売却は高値になりやすいが承諾料が必要。地主への売却は承諾料不要だが価格が低くなりやすい。

所有してからの年数や売却時の特例の利用、また過去の経費形状の選択で大きく税負担は変化します。

まずは借地権付き物件の売却価格の目安を明確にし、丁寧なシュミレーションを行いましょう。
▶︎借地権の売却におすすめの一括査定サイト

借地権の売却方法別の価格差(更地価格4,000万円の場合)

更地価格4,000万円の場合、売却方法により約1,200万円の価格差が出る可能性があります。

売却手法 買主 予想売却価格 マイナス要因 概算手残り額 特徴と難易度
地主への売却 地主(底地所有者) 約2,400万円 承諾料:不要仲介手数料:不要な場合も 約2,400万円 【最高値】 地主が土地を完全所有化できるため、評価額通りで買い取ってもらえる理想的な形。
同時売却 第三者(一般個人等) 約2,800万円 承諾料:不要※更地価格4,000万円の70%配分想定 約2,650万円 【高値・推奨】 地主の底地と一緒に「所有権」として売る。市場価値が最も高く、ローンも通りやすい。
専門業者買取 借地権買取プロ 約1,600万円 承諾料:約240万円(10%)
業者利益・リスク減価:約600万円
約1,360万円 【最安値・最速】地主が拒否している場合等の最終手段。転売益やリスクを見込むため、大幅に安くなる。

更地価格が4,000万円、借地権割合が60%の場合
借地権価格の目安は約2,400万円ですが手数料が差し引かれ、実際の手取り額は約2,000〜2,300万円が目安です。

以下では更地価格4,000万円を例に、売却方法ごとの価格差と手取り額の差を具体的に解説します。

地主売却なら約2,000万〜2,300万円が目安

借地権を地主に売却するなら約2,000万〜2,300万円が目安価格です。

地主売却では借地権価格の80〜95%程度で成立する場合が多いです。

地主売却では第三者への譲渡ではないため、譲渡承諾料が発生しない点が特徴です。

ただし価格は市場売却より低くなりやすいため、地主との価格交渉が重要になります。

買取業者なら約1,700万〜2,200万円が目安

不動産専門業者に買取を依頼する場合は、約1,700万〜2,200万円が目安価格です。

専門業者の買取価格は借地権価格の70〜90%程度が目安で成立します。

買取業者では地主との交渉や再販売リスクを請け負う点が特徴です。

売却価格は下がりますが、面倒なリスクを受け追わず早く手放したい方におすすめです。

同時売却なら約2,800万〜3,200万円になる可能性あり

借地権と底地の同時売却の場合は、約2,800万〜3,200万円になる可能性があります。

借地権売却時の価格は、売却方法によって手取り額が大きく変わります。

まずは一括査定サイトで物件価値や相場の把握をし、最適な売却方法を見つけてください。▶︎おすすめの不動産一括サイトはこちら

借地権売却で失敗する人の共通点

借地権売却で失敗する人の共通点は「内容や費用を確認せずに売却を進める」点です。

借地権の売却では手続きや費用構造が複雑なため、手取り額のシュミレーションが重要です。

以下では、借地権売却で実際に起きやすい失敗パターンを具体的にご紹介します。

承諾料を事前確認せず話を進める

借地権の売却時は、事前に地主と承諾料の取り決めを明確に行いましょう。

承諾金は法的な規則はなく、相場は約10%になっています。

たとえば、借地権価格が2,400万円の場合は約240万円程度になる見込みです。

項目 目安
借地権価格 2,400万円(更地価格4,000万円×60%)
承諾料 約240万円(借地権価格の10%)
実質売却価格 承諾料を差し引いた金額

相場はあくまで目安であり、承諾料は地主との契約によって変化します。

まずは自身の借地契約書を確認し、承諾料の有無や条件を把握してください。

再建築不可を軽視する

借地権付き物件の中でも再建築不可物件は、市場での売却が困難です。

再建築が可能だと住宅ローンが利用できますが、再建築不可物件は融資がおりず買い手がつきにくい特徴があります。

物件条件 売却難易度 影響
再建築可能 低い 住宅ローン利用が可能な場合が多い
再建築不可 高い 購入者が限定され価格が下がりやすい

接道条件や契約内容を確認し、売却予定の借地権付き物件が再建築可能か物件条件を把握しておきましょう。

複数査定を取らず価格を信じる

借地権付き物件の売却では、複数査定で相場価格を必ず確認しましょう。

借地権付き物件は取引事例が少なく、評価方法も不動産会社によって異なります。

例えば同じ物件でも、買取を前提とする査定と仲介を前提とする査定では約1200万円の差が出る場合があります。
▶︎借地権の売却方法別の価格差(更地価格4,000万円の場合)

特に借地権は地主との交渉や契約条件によって価格が変動します。
複数の不動産会社に査定を依頼し、売価格比較を行ってください。

売却までの具体的な流れ【5ステップ】

借地権の売却は、「相場把握→地主意向確認→売却方法決定→承諾取得→契約・決済」の5ステップで行います。

売却までの5ステップ

借地権の売却では、事前の地主への意向確認が特に重要です。

以下では売却までの具体的な流れを5ステップで具体的にご紹介します。

①相場把握

借地権取引経験がある不動産会社に査定を依頼し、物件の相場を把握します。

借地権の売却は、物件の条件だけでなく不動産会社の取引経験の有無によっても価格は変動します。

▶︎借地権の売却方法別の価格差(更地価格4,000万円の場合)

まずは借地権取引の経験がある複数の不動産会社に査定を依頼し、相場を把握してください。

▶︎おすすめの不動産一括サイトはこちら

②地主意向確認

借地権物件の売却時は、早い段階で地主への事前打診と承諾交渉を行いましょう。

地主の意向によって売却方法や価格は変化します。

売却活動を開始する前に地主の意向を確認し、売却方法を事前に絞りこんでおくのが有効です。

③売却方法決定

次にに売却方法を決定します。

借地権売却の方法は「地主への売却」「個人への売却」「同時売却」「専門業者の買取」の4つです。

▶︎借地権の売却方法は全部で4つ

価格やスピードなど、何を優先して売却するのかを決めたうえで売却方法を決定してください。

④承諾取得

個人へ借地権を売却する場合は、地主から譲渡承諾書を取得します。

万が一地主が承諾しない場合、「借地借家法第19条」に基づき裁判所に「借地権譲渡許可」を申し立てる制度もあります。

裁判では半年から1年かかるため、最終手段として検討してください。

⑤契約・決済

最後に売買契約を締結し、決済と引き渡しを行います。

決済額から仲介手数料、承諾料、税金などの費用が引かれた残金が入金されます。

決済ではそのほか借地権譲渡の手続きを行い、鍵や関係書類を買主へ引き渡して終了です。

借地権売却でかかる費用

借地権の売却では仲介料や税金、地主への承諾料などの費用がかかります。

費用項目 目安 支払先
譲渡所得税 利益に応じて税率約20〜40% 税務署
譲渡承諾料 借地権価格の約5〜10% 地主
仲介手数料 売却価格の3%+6万円+消費税 不動産会社
測量費 約50万〜100万円 土地家屋調査士
解体費 約100万円以上 解体業者

売却価格から費用を引いた手取り額を把握することが重要です。

以下では、借地権売却で一般的に発生する主な費用項目と目安を整理します。

譲渡所得税が約20〜40%かかる

借地権を売却し利益が発生すると、利益に約20〜40%の税金が課税されます

所有期間が5年を超えてからの売却では、5年未満に比べて税率はほぼ半分です。

所有期間 税率の目安 売却益500万円の場合の税額 ポイント
5年超(長期譲渡) 約20% 約100万円 税率が低く、手残りが多くなる
5年以下(短期譲渡) 約40% 約200万円 税率が高く、税負担が大きくなる

事前に必ず保有年数を確認し、手残りを計算しておきましょう。

地主への承諾料は売却価格の約10%が目安

借地権を売却する際の承諾料は「借地権価格の5〜10%」が一般的な目安です。

例えば借地権価格が2,400万円の場合、承諾料の相場は約120万〜240万円程度です。

借地権価格 承諾料の相場(5%) 承諾料の相場(10%) ポイント
2,400万円 約120万円 約240万円 承諾料は法律での定めはなく、借地権価格の5〜10%程度が目安

地主によっては相場以上の金額を要求される場合もあるため、丁寧な交渉を行なってください。

仲介手数料は最大で売却価格の3%+6万円

不動産会社に仲介を依頼した際の仲介手数料は、「売却価格×3%+6万円(税別)」です。

例えば売却価格が2,400万円の場合、仲介手数料の上限は約78万円(税別)です。

なお、不動産会社の買取や地主との個人間でのやり取りでは発生しません。

測量費や境界確定で50万〜90万円かかることも

借地権売却では境界の確定や測量で50〜90万円程度かかる場合があります。

売却時は土地の境界を明確にする必要があり、土地家屋調査士による立会いが必要です。

項目 概算費用 理由
基本測量・図面作成 30〜40万円 調査士の技術料・事務手数料
境界確定(道路) 10〜20万円 役所への申請・立ち会い
境界確定(隣人) 10〜30万円 所有者数や調整の難易度による
合計 50〜90万円 ※特殊なケースでは100万円超も

境界が未確定のままでは売買契約が成立しない場合もあります。

費用負担は底地を持つ地主と交渉しながら、売却準備を進めてください。

建物解体費は100万円以上になる場合がある

借地権売却では、建物解体費が100万円以上発生する場合があります。

契約で更地引き渡しが必要な場合、建物の解体が必要です。

木造住宅の解体費は坪4万〜6万円が目安で、延床面積30坪なら約120万〜180万円程度になる場合があります。

まずは契約書で引渡しの要件を確認し、地主への交渉または買取業者への売却を検討しましょう。

建物の名義変更費用が1万〜2万円かかる場合もある

借地権売却では登記費用はほぼ発生しませんが、建物の名義変更費用が発生する場合があります。

抵当権が設定されている場合は抹消登記のため登録免許税が1件1,000円、司法書士報酬は1万〜2万円程度の費用が必要です。

また登記簿上の住所や氏名が現在と異なる場合は、住所・氏名変更登記が必要で登録免許税は1件1,000円かかります。

売却前に登記情報を確認し、必要な手続きを整理しておきましょう。

借地権売却に強い不動産会社を選ぶ基準

借地権の売却では、地主との交渉経験があり借地権取引に慣れた会社を選びましょう。

借地権は地主の承諾がなければ売却できないため、交渉力が重要です。

以下では、借地権売却に強い不動産会社を選ぶ際の具体的な基準をご紹介します。

同時売却の実績がある会社を選ぶ

同時売却を検討している場合は、同時売却実績がある不動産会社を選びましょう。

借地権と底地の同時売却は取引が複雑なため、経験がない会社では交渉や手続きに時間がかかる可能性があります。

売却方法 価格水準(更地価格4,000万円の場合) 特徴
借地権単独売却 約2,000万〜2,400万円 借地権割合に基づく価格
底地と同時売却 約2,800万〜3,200万円程度になる可能性 所有権に近い価格水準

同時売却を問題なくスムーズに進めるためにも、実務経験がある会社を選ぶのが重要です。

地主交渉に慣れている会社を選ぶ

借地権の売却時は地主交渉に慣れている会社を選ぶ点が重要です。

借地権取引の経験がある不動産会社であれば、承諾料の水準や条件についてもスムーズな合意が取りやすいです。

地主との交渉をスムーズかつ早く進めるためにも、借地権取引や地主の交渉経験がある会社を選びましょう。

買取と仲介の両方を提示できる会社を選ぶ

借地権売却時は、買取と仲介の両方に対応できる不動産会社を選ぶのがおすすめです。

仲介で売却できない場合でも、すぐに買取への切り替えられる点が特徴です。

また両方に対応できる会社であれば、最初から仲介価格と買取価格の査定額を提示してもらえます。

売却方法が定まっていない場合は、とくに買取と仲介の両方に対応した会社に査定を依頼するのがおすすめです。

借地権売却におすすめの一括査定サービス

借地権売却におすすめの一括査定サービスは以下の3サービスです。

比較項目 すまいステップ すまいバリュー HOME4U
サービスの特徴 優良企業のみを厳選。担当者の質を重視。 超大手6社への直接依頼。権利調整のプロ集団。 NTTデータ運営。審査が厳しく、老舗・実力店が多い。
運営会社 大手6社共同運営 株式会社Speee NTTデータグループ
借地権への対応
同時売却の調整
仲介・買取 両対応 仲介メイン
(買取保証あり)
両対応
地主交渉サポート

借地権の売却では、所有権不動産とは評価方法や買主層が異なるため、複数の不動産会社での比較査定が重要です。

以下では、借地権売却において比較検討しやすい代表的な一括査定・不動産サービスを3つご紹介します。

すまいステップ|借地権売却に強い担当者で安心

すまいステップ
項目 内容
サービス名 すまいステップ
運営会社 株式会社Speee
サービス内容 厳選された優良不動産会社・担当者に限定した不動産一括査定サイト
利用料金 完全無料
提携会社数 全国2,000社以上
対応物件 マンション、一戸建て、土地、ビル、店舗、倉庫など
所要時間 最短60秒(Webフォーム入力)
比較可能数 最大4社
対応エリア 全国
公式HP https://sumai-step.com/
特徴 所有権移転率No.1:査定後の実売却に至った割合で1位を獲得(参考:すまいステップ 公式サイト
エース級の担当者限定:売買経験5年以上、100件超の実績などの基準をクリアしたプロが対応
スピード成約:業界平均より約1ヶ月早い売却スピードの実績

すまいステップは担当者の質に特化した不動産一括査定サイトです。

査定担当者に「宅建士保有」「売買仲介実績100件以上」などの独自基準を設け、不動産比較サイト調査(参考:すまいステップ 公式サイト)では所有権移転率で第1位を獲得しています。
また、評価の低い会社を排除する「イエローカード制度」や、税制・売却相場を解説した専門家監修の記事も提供されているのも特徴です。

すまいステップの強みや選ばれる理由

  • 制約につながる高い制度の査定価格の提示が可能
  • 売買経験5年以上エース級のプロからアドバイスを受けられる
  • 強引な勧誘を防ぐ制度があるので安心して利用できる
  • 査定から所有権移転までの平均日数が約106日と短期間での成約率が高い

すまいステップがおすすめな人

すまいステップは地主との交渉を経験豊富な営業担当者に任せたい人におすすめです。

「売買経験5年以上」「累計100件以上の実績」などの基準を満たした担当者のみが紹介されるので、複雑な権利関係の調整にも対応しやすいのが特徴です。

またコンプライアンスを重視した会社が選ばれているため、地主との関係を壊さない丁寧な対応を求める方にも適しています。

すまいValue|大手6社運営で初めての借地権売却も安心

すまいValue
項目 内容
サービス名 すまいValue(すまいバリュー)
運営会社 大手不動産会社6社の共同運営
(三井のリハウス、住友不動産販売、東急リバブル、野村の仲介+、小田急不動産、三菱地所ハウスネット)
サービス内容 大手6社にまとめて査定依頼できる不動産一括査定サイト
利用料金 完全無料(不動産会社からの手数料で運営)
提携会社数 6社(いずれも業界上位)
対応物件 マンション、一戸建て、土地など
所要時間 最短60秒(Webフォーム入力)
比較可能数 最大6社(大手6社すべて)
対応エリア 全国対応(全国835店舗 ※2024年度時点)
公式HP https://sumai-value.jp/
特徴 ・トラブルなしで取引できたと回答したユーザー95.5%
・成約件数:年間11万件以上(2024年度実績)
・成約スピード:71.3%が3か月以内に成約
・FP相談や相続支援などの付帯サービスが充実
(参考:すまいValue 公式サイト

すまいValueは、大手不動産仲介会社6社が共同で運営している一括査定サービスです。

自社のユーザーアンケートでは、95.5%が「トラブルなく安心して取引できた」と回答があり、大手仲介会社に直接依頼できる安心感が評価されています。

またFPや税理士による相談会や不動産知識を解説した「すまいValueマガジン」などのサポートも充実しています。

すまいValueの強みや選ばれる理由

  • サイト自体を不動産仲介のトップ企業6社が共同で運営している
  • 膨大な成約データに基づいた「精度の高い査定」で早期売却の可能性が高い
  • 大手各社が独自に提供する売却サポートメニューがそのまま適用される
  • 利用者アンケートでの信頼度95.5%(参考:すまいValue 公式サイト

すまいValueがおすすめな人

すまいバリューは地主との交渉に不安がありつつ、高値売却を目指す方におすすめのサービスです。

すまいバリューを運営する6社はいずれも大手不動産会社で、組織力や法務体制が整っています。
個人の不動産会社では対応が難しい「気難しい地主」や「寺社・法人」との交渉も円満な合意ができる可能性が高いです。

HOME4U|NTTデータグループ運営の安心感

HOME4U
項目 内容
サービス名 HOME4U(ホームフォーユー)
運営会社 株式会社NTTデータ・スマートソーシング(NTTデータグループ)
サービス内容 不動産一括査定サービス(日本初)
利用料金 完全無料
提携会社数 約2,500社(大手から地域密着型まで)
対応物件 マンション、一戸建て、土地など
所要時間 最短60秒(Webフォーム入力)
比較可能数 最大6社
対応エリア 全国対応
公式HP https://www.home4u.jp/sell/
特徴 ・日本初の一括査定サイト(2001年~)
・NTTデータグループ運営で情報管理が安心
・抵当権付き物件の相談実績も豊富
・厳選された優良不動産会社のみと提携

「HOME4U(ホームフォーユー)」は、マンション・戸建て・土地の売却に対応した一括査定サービスを無料で提供している一括査定サービスです

2001年にサービスを開始し、運営歴は20年以上と日本で最も早く一括査定を提供した実績がある、信頼性の高いサービスです。

HOME4Uの強みや選ばれる理由

  • NTTデータグループ運営、Pマーク取得の信頼性
  • 業界初(2001年〜)の業界最長実績
  • 悪質な不動産業者を排除するパトロール制度
  • 宅地建物取引士などの専門スタッフがサポート

HOME4Uがおすすめな人

HOME4Uは、どの不動産会社に相談すべきかわからない初心者にこそおすすめのサービスです。
提携先の質が高く、借地権の取扱実績がある会社と効率よくマッチングできます。
大手だけでなく地域密着型の優良企業とも提携しているため、エリア特性が強い借地権でも対応可能です。

借地権売却時によくあるQ&A

借地権売却では地主の承諾や承諾料・税金など、複雑な手続きも多いため疑問が多く生じやすいです。

ここでは、借地権売却を検討する際によくある質問とその回答をまとめました。

地主が借地権売却を承諾しない場合はどうなりますか?

地主が借地権の譲渡を承諾しない場合、正当な理由がなければ裁判所に申し立てが可能です。

借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
引用元/借地借家法第19条第1項

借地権の譲渡に対して地主の合理的理由のない拒否は認められていません。

裁判所への申し立ては可能ですが、手続きには半年から1年近くかかります。
地主との関係性も悪化するため、使用には注意してください。

承諾料を払わないと借地権は売却できませんか?

支払わないと円満かつスムーズな売却は極めて困難です。

支払わない場合は民法第612法に則り、借地契約を解除されるリスクがあります。

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲渡し、又は賃借物を転貸することができない。
賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
(引用:民法第612条

現在の借地契約書で承諾料の明記を確認したうえで、円満な売却ができるような交渉がおすすめです。

再建築不可の借地権でも売却できますか?

はい、再建築不可の借地権も売却は可能です。

ただし住宅ローンが通りにくく、再建築可能な物件に比べて30〜50%程度評価額が下がる傾向があります。

また再建築不可物件は建て替えはできませんが、フルリノベーションは可能です。

再建築不可物件の取扱実績のある不動産会社で、売却の方向性を相談するのもおすすめです。

借地権だけ売却して底地はそのままでも問題ありませんか?

地主の同意が取れていれば問題ありません。

ただし借地権のみの売却では価格が低くなる傾向があります。

少しでも高値で売却したい場合は「地主への売却」や「同時売却」を検討してください。

住宅ローンが残っている借地権物件は売却できますか?

はい、売却は可能です。

ただし売却代金でローンを完済できることが条件になります

完済できない場合は、不足分を自己資金で補う「任意売却」の手続きが必要になるため注意が必要です。

借地権の売却方法は「優先順位」で決めよう

借地権の売却方法は、価格・スピード・地主の承諾条件を整理し、何を優先するかを基準に選びましょう。

売却手法 価格(手残り) スピード 地主の承諾条件 おすすめのケース
地主への売却 低め 非常に早い 比較的スムーズ ・早く処分したい
・地主が買い取りに前向き
個人への売却 高め 遅い(半年〜) 地主の譲渡承諾が必要 ・立地や建物条件が良い
・少しでも価格を上げたい
同時売却 最も高くなりやすい 普通 地主との合意が必要 ・地主も売却を検討している
・売却益を上げたい
専門買取業者への売却 中〜低 早い(数日〜数週間) 業者が地主交渉を代行 ・地主との交渉が難しい
・早期売却

また地主との関係性も売却方法の選択に影響します。

状況 優先される売却方法 理由
地主との関係が良好 地主への売却 承諾料が不要になるケースがあり交渉が少ない
地主も土地を売却したい 地主との共同売却 市場価格に近い水準で取引されやすい
地主に買取意思がない 第三者への借地権売却 借地契約を引き継いで売却できる
早期に現金化したい 不動産会社の買取 買主を探す期間が不要

売却方法を選ぶ前に、まずは物件の市場価格を把握することが重要です。

一括不動産査定で複数社の査定額を比較し、相場を確認したうえで地主との交渉や売却方針を決めましょう。