借地権は地主へ売却できる?相場の目安と承諾の仕組み・他の売却方法を比較
借地権は地主へ売却できますが、必ずしも最適な方法とは限りません。
地主売却は成立しやすい一方で売却価格が約50〜70%になる傾向があります。(参考:国税庁「路線価図・評価倍率表」)
売却方法は第三者売却や借地権専門業者への売却など複数の方法があるため、売却価格や成立のしやすさを比較して判断することが重要です。
本記事では、借地権を地主へ売却する場合の相場や買取を拒否された場合の対処法、第三者売却や借地権専門業者などの売却方法との違いやメリット・デメリットを比較して解説します。
借地権の売却方法を理解し、自分に合った借地権の売却方法を判断しましょう。
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借地権は地主へ売却できる
借地権は地主への売却が可能です。
ただし、地主への売却は成立しやすい反面、価格が低くなりやすいため、必ずしも最適な方法とは限りません。
また、借地権の売却は地主への売却以外にも、「第三者売却」や「借地権専門業者への売却」といった方法があります。
売却方法によって、売却価格や売却成立のしやすさ、地主承諾の有無、売却までの期間が異なるため、それぞれの特徴を比較し、自分の状況に合った方法を選びましょう。
借地権は地主へ売却できるが「必ず最適な方法」とは限らない
借地権は地主へ売却できますが、第三者や借地権専門業者へ売却することも可能です。
まずは、それぞれの特徴を比較してください。
| 売却方法 | 売却価格の期待値 | 売却成立のしやすさ | 地主承諾の必要性 | 売却スピード | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 地主へ売却 | △ | ◎ | 原則不要 | ◎ | 早く売りたい人 | 価格競争が起こりにくい |
| 第三者へ売却 | ◎ | △ | 必要 | △ | 高く売りたい人 | 承諾料や買主探しが必要 |
| 借地権専門業者へ売却 | ○ | ○ | ケースによる | ○ | 交渉を任せたい人 | 買取価格は低くなりやすい |
地主へ売却する最大のメリットは、地主承諾の問題が起こりにくく、売却が成立しやすい点です。
ただし、価格は地主との交渉で決まるため、第三者売却より価格が低くなる傾向があります。
また、地主に購入意思がない場合は売却できないケースもあります。
地主の提示価格だけで判断せず、第三者売却や借地権専門業者への売却価格も比較したうえで、最適な方法を選びましょう。
借地権を地主以外に売却する方法は2つ
借地権を地主以外に売却する方法は、「第三者売却」と「借地権専門業者への売却」の2つです。
第三者売却は高値を狙いやすい一方で、地主承諾や買主探しが必要になります。
対して借地権専門業者への売却は、価格は低くなりやすいものの、地主交渉や権利関係の整理を任せやすく、スピーディーに売却できる点が特徴です。
| 売却先 | 特徴 | 価格 | スピード | 地主承諾 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|---|
| 第三者へ売却 | 一般の買主へ売却 | 高めを狙いやすい | やや遅い | 必要 | できるだけ高く売りたい |
| 借地権専門業者へ売却 | 業者が直接買取 | やや低め | 早い | ケースによる | 早く現金化したい |
地主以外に売却する場合は、地主の譲渡承諾が必要になるケースがある点に注意が必要です。
第三者へ売却する方法
第三者への売却は、できるだけ高く売りたい場合に向いている方法です。
地主への売却より高値で売れる可能性がありますが、買主探しや地主への譲渡承諾が必要になるため、売却までに時間や手間がかかる場合があります。
また、承諾料が発生するケースもあるため、売却価格だけでなく最終的な手残り額も踏まえて検討しましょう。
借地権専門業者へ売却する方法
借地権専門業者への売却は、早く現金化したい場合や地主との交渉が難しい場合に向いています。
借地権専門業者は、地主との交渉や権利関係の整理を行いながら買い取るため、一般的な売却方法よりも手続きを進めやすいのが特徴です。
また、地主との関係が悪い場合や承諾交渉が進まない場合でも、交渉を任せられる点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、業者が権利関係の整理や再販売リスクを負うため、売却価格は低くなる傾向があります。
価格よりも売却スピードや手続きの負担軽減を重視する場合に検討をおすすめします。
借地権の売却方法はどれが良い?「売却価格」と「売却成立のしやすさ」で比較
借地権の売却方法は、「売却価格」と「売却成立のしやすさ」のどちらを優先するかで変わります。
| 売却方法 | 売却価格 | 成立難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 地主へ売却 | 低め | 易しい | ・地主と直接交渉するため成立しやすい ・土地と借地権を一体化できるため、地主にメリット大 |
| 第三者へ売却 | 高め | 難しい | ・市場価格に近い売却が期待できる ・地主の譲渡承諾が必要 ・承諾料が発生することもある |
| 専門業者へ売却 | 中〜低 | 普通〜易しい | ・買取のため価格が下がりやすい ・地主交渉や手続きを任せられる |
高く売れる方法ほど売却までに時間や手間がかかりやすく、早く売れる方法ほど価格は低くなる傾向があります。
そのため、借地権の売却方法は「高く売りたい」「早く売りたい」「地主との交渉を避けたい」など、自分が重視するポイントに合わせて選ぶことが大切です。
地主へ売却する場合|売却は成立しやすいが価格は低くなりやすい
地主への売却は、早く売却したい場合や地主との関係が良好な場合に向いています。
地主は借地権を取得すると土地を自由に利用できるメリットがあります。
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 売却成立のスピード | 比較的早く成立しやすい |
| 地主の承諾 | 地主が買主のため承諾問題が発生しない |
| 手続き | 売却手続きが比較的シンプル |
| 売却価格 | 相場より低くなりやすい |
| 価格交渉 | 交渉は地主の意向に左右されやすい |
地主へ売却する場合は、承諾料が不要になるなど費用面のメリットがあります。
ただし、売却価格は更地価格の50〜70%程度が目安とされ、借地権割合や契約内容、地主との交渉状況によっても変わる点は注意が必要です。
そのため、提示価格が低い場合は、承諾料がかかったとしても第三者売却の方が手残り額が大きくなる可能性があります。
売却価格だけでなく、費用を差し引いた手残り額で比較しましょう。
第三者へ売却する場合|高く売れる可能性があるが地主の承諾が必要
第三者への売却は、市場価格に近い価格で売却したい場合に有効な方法です。
不動産市場で買主を募集できるため、地主への売却より高値で売れる可能性があります。
ただし、市場で買主と売却成立するまで、長ければ半年から1年程度の時間がかかる場合があります。
第三者への売却では、地主の承諾が必要なうえ、譲渡承諾料や仲介手数料が発生するため、売却価格だけでなく最終的な手残り額も確認しておきましょう。
借地権専門業者へ売却する場合|早く売却できるが価格はやや低くなる
借地権専門業者は、地主との交渉や権利関係の整理などを行いながら買い取るため、一般的な売却方法よりも手続きを進めやすいのが特徴です。
地主との関係に不安がある場合でも、交渉を任せられる点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、業者が権利関係の整理や再販売リスクを負うため、売却価格は更地価格の50%程度と低くなる傾向があります。
地主へ借地権を売却するメリット
地主へ売却するメリットは、承諾交渉や買主探しの負担を減らせる点です。
特に地主との関係が良好で、地主側にも土地を一体利用したい意向がある場合は、スムーズに売却できる可能性があります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 地主承諾が不要になる | 地主自身が買主になるため、第三者売却で必要な譲渡承諾が不要になる |
| 売却成立しやすい | 買主が地主のため、買主探しが不要で売却が成立しやすい |
| トラブルを避けやすい | 第三者売却で発生しやすい承諾交渉などのトラブルを避けやすい |
まずは地主へ売却するメリットを確認し、売却方法を比較する際の参考にしてください。
地主承諾が不要になる
地主へ借地権を売却する場合、第三者売却で必要になる譲渡承諾が不要です。
地主自身が買主になるため、承諾を得るための交渉が発生しません。
また、譲渡承諾料や名義書換料が不要になるケースもあり、手続きの負担や費用を抑えやすい点がメリットです。
ただし、買主が地主に限定されるため、価格交渉では不利になりやすい点には注意しましょう。
売却成立しやすい
地主への売却は、売却成立がしやすい点もメリットです。
地主が借地権を取得すると、土地と借地権を一体化できるため、土地の活用や管理がしやすくなります。
そのため、地主に購入意欲がある場合は交渉がまとまりやすく、売却が成立しやすい傾向があります。
| 地主側のメリット | 内容 |
|---|---|
| 土地を完全所有できる | 借地権が消滅し自由に活用しやすくなる |
| 底地と借地権を一体化できる | 権利関係がシンプルになる |
| 土地活用の自由度が上がる | 建替えや売却を進めやすい |
| 将来的に売却しやすくなる | 権利関係が整理される |
| 地代管理が不要になる | 借地人対応の負担が減る |
地主にとってメリットが大きいことから、第三者売却と比べて売却が成立しやすい方法です。
ただし、地主に購入意思がない場合は売却できないため、事前に意向を確認しておく必要があります。
トラブルを避けやすい
地主への売却は、第三者売却で発生しやすいトラブルを避けやすい点もメリットです。
例えば、第三者売却では譲渡承諾や承諾料の交渉が必要ですが、地主への売却ではこうした手続きが発生しません。
また、買主が地主本人であることから、契約直前の条件変更やキャンセルリスクも低くなります。
一方で、価格交渉の主導権は地主側に寄りやすいため、交渉前に査定を取り、相場を把握しておくことが重要です。
地主へ借地権を売却するデメリット
地主への売却は成立しやすい一方で、売却価格が低くなりやすく、必ず買い取ってもらえるとは限りません。
地主売却が自分に合った方法か判断するためにも、事前にデメリットを確認しておきましょう。
売却価格が安くなる傾向がある
地主へ売却する場合、売却価格は更地価格の約50〜70%が目安となります。
地主への売却は買主が地主のみのため、市場の競争原理が働きにくく、第三者売却に比べ価格が低くなる傾向があります。
- 買い手が地主のみになりやすい
- 市場競争が働きにくい
- 第三者売却より価格が低くなる傾向がある
価格交渉が難しい
地主への売却では価格交渉が難しい点もデメリットです。
地主への売却では買主の選択肢が限られるため、価格交渉では地主側が優位になりがちです。
また、地主は購入を急ぐ必要がない一方で、借地人は早く売却したい事情を抱えていることも多く、交渉条件に差が生まれやすいです。
- 借地人は売却を急ぎがちになり不利になりやすい
- 地主は急いで買う必要がなく強気の交渉が可能
提示された価格が適正か判断するためにも、事前に不動産会社へ査定を依頼し、相場を把握しておくことが大切です。
地主が買い取らないケースもある
地主には借地権を買い取る義務がないため、売却を申し出ても断られる場合があります。
例えば、購入資金を確保できない場合や、現在の地代収入を維持したい場合は購入を希望しないことがあります。
また、土地活用の予定がない場合や、立地・形状などの条件から利用価値が低いと判断された場合も、購入を見送られる可能性があります。
地主への売却を前提に進めるのではなく、第三者売却や借地権専門業者への売却も選択肢として考えておくと安心です。
地主に借地権を売却する場合の相場は?
地主に借地権を売却する場合の価格は、更地価格の50〜70%程度が目安とされています。
借地権価格は「更地価格×借地権割合(60%など)」で算出されます。
ただし、借地契約の内容や残存期間、地主との交渉結果によって実際の売却価格は変動します。
借地権の価格は「借地権割合」をもとに計算される
借地権の価格を算出する際の指標となるのが借地権割合です。
国税庁が毎年公表する路線価図に記載され、土地の価値のうち借地権が占める割合を示します。
借地権割合は地域によって異なり、都市部では約60〜70%に設定されているケースが多く見られます。
ただし実際の取引では、承諾料や残存期間などにより価格が調整される場合があります。
地主が買い取る場合の価格は更地価格の50〜70%が目安
地主が借地権を買い取る場合は更地価格の約50〜70%が目安です。
借地権価格=更地としての時価×借地権割合
借地人から売却を申し出た場合は更地代の約50%ですが、地主から買取を申し出た場合は約70%が目安価格です。
地主から買取を申し出た場合に価格が上がるのは、立退料の要素が加味されているからです。
最終的な価格は交渉によって決まります。場合により借地権割合で計算した価格より低くなる場合もあるでしょう。
地主に売るべきケースと他の方法を選ぶべきケース
借地権を早く確実に売りたい場合は地主売却、高値を目指すなら第三者売却や専門業者への売却を選びましょう。
| 売却方法 | 売却価格 | 売却スピード | 地主との関係性 | 売却難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 地主へ売却 | 低くなりやすい | 比較的早い | 良好な関係が前提になりやすい | 低い |
| 第三者へ売却 | 高くなる可能性 | 買主探しに時間がかかる場合あり | 地主の承諾が必要 | 高い |
| 借地権専門業者へ売却 | 市場価格より低め | 比較的早い | 地主交渉を業者が対応する場合が多い | 中程度 |
借地権の売却方法に正解はありません。
売却価格を優先するのか、売却スピードを優先するのかによって適した方法は変わります。
自分の状況ではどの売却方法が向いているのか、確認してみましょう。
地主売却が向いている場合|早く売りたい・地主とのトラブルを避けたい
借地権を早く売却したい場合や、地主とのトラブルを避けたい場合は地主売却がおすすめです。
| ケース | 状況 | 地主売却が向く理由 |
|---|---|---|
| 早く売却したい | 相続・住み替え・資金化などで早期売却が必要 | ・買主を探す必要がない ・交渉がまとまれば比較的早く売却できる |
| 地主とのトラブルを避けたい | 第三者売却で承諾交渉が難しそう | ・承諾交渉が不要 ・地主との対立を避けやすい |
| 地主が買取に前向き | 地主が借地権の取得を希望している | ・交渉がまとまりやすい ・売却成立の可能性が高い |
| 土地の市場性が低い | 狭小地・再建築不可・需要が少ない地域 | 第三者の買主が見つかりにくいため、地主売却の方が成立しやすい |
| 借地契約の条件が厳しい | 地代が高い・建替え制限などの条件がある | 第三者に売りにくい条件でも、地主なら買い取る可能性がある |
地主への直接売却は承諾手続きが不要なため、交渉もシンプルで比較的短期間で売却できることが多いです。
ただし、地主との交渉により価格が決まるため、低くなりやすい点は注意しましょう。
第三者売却が向いている場合|できるだけ高く売りたい
借地権をできるだけ高く売りたい場合は、第三者売却を検討しましょう。
| 特徴 | メリット |
|---|---|
| 市場で買主を探す | 価格競争が起きれば、高値で売却できる可能性がある |
| 地主の承諾が必要 | 地主以外にも売却先を広げられる |
第三者売却は市場で買主を募集するため、複数の購入者が現れて価格競争が起きると、地主売却より高値で売却できます。
ただし売却には地主の承諾が必要です。
また、承諾料や仲介手数料が発生する場合があるため、売却価格だけでなく最終的な手残り額も確認しておきましょう。
借地権専門業者が向いている場合|地主が非協力的で売却が難しい
地主が売却に協力せず、第三者売却が難しい場合は借地権専門業者への売却を検討しましょう。
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 地主交渉 | 地主との交渉や権利調整を代行できる |
| 売却スピード | 買取形式のため比較的早く売却できる |
| 対応物件 | 複雑な権利関係の借地権でも相談できる |
| 売却価格 | 市場相場より低くなる傾向がある |
借地権専門業者は地主との交渉や権利調整に対応しており、複雑な権利関係の物件でも相談できます。
また、買取形式のため売却までの期間を短縮しやすい点も特徴です。
ただし、売却価格は市場相場の50%程度になる可能性があります。
地主が借地権の買取を拒否した場合の対処法
地主が借地権の買取を拒否しても、売却を諦める必要はありません。
第三者への売却や借地権専門業者への売却、裁判所の譲渡許可制度など、状況に応じて選べる方法があります。
第三者へ売却する
地主が買取を拒否した場合でも、地主の承諾を得られれば第三者への売却が可能です。
第三者売却では、不動産会社に査定や買主探しを依頼し、地主の譲渡承諾を得たうえで売買契約を締結します。基本的な流れは以下のとおりです。

- 借地権取引に強い不動産会社に相談し借地権の査定を受けて買主を探す
- 地主に借地権譲渡の承諾を得る(承諾料が必要な場合あり)
- 売買契約を締結
- 決済後、借地契約の名義変更・引き渡し
地主が譲渡承諾に応じない場合は売却が進まないため、事前に承諾の見込みを確認しておくことが大切です。
借地権専門業者へ売却する
地主が非協力的で第三者売却が難しい場合は、借地権専門業者への売却を検討しましょう。
借地権専門業者は、借地権の売買や地主との交渉に精通した不動産会社です。
地主との交渉や権利調整を代行してくれるため、地主との関係が悪く、自分では話し合いを進めにくい場合でも売却できる可能性があります。
買取形式のため売却スピードが早く、数週間から1か月程度で取引が成立する場合もあります。
ただし、買取のため売却価格は約50%が目安となる点に注意しましょう。
- 借地権取引の実務に慣れている
- 地主との交渉を前提に買取を行う
- 複雑な権利関係でも対応できる
裁判所の譲渡許可を利用する
地主が正当な理由なく譲渡承諾を拒否している場合は、裁判所の譲渡許可制度を利用できます。
譲渡許可制度とは、地主が承諾しない場合に裁判所が譲渡を許可する制度です。裁判所が許可を出した場合は、地主の承諾がなくても借地権を譲渡できます。
『借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。(引用:借地借家法第19条第1項)』
ただし、申立てには時間や費用がかかるため、まずは地主との交渉や第三者売却、専門業者への相談を優先するケースが一般的です。
裁判所の許可を得るには以下の利用条件を満たす必要があります。
- 建物の譲渡が伴う:借地上の建物と一緒に借地権を譲渡する場合
- 地主に不利となるおそれがない:新しい借地人に地代の支払い能力があり、信頼関係を破壊するおそれがない場合
- 合理的な理由のない拒絶: 地主が感情的な理由や、法外な承諾料を要求して拒否している場合
借地権売却の流れ
借地権売却は「売却方針決定→査定→地主交渉→契約」の流れで進みます。
借地権売却は、売却方法によって必要な手続きや地主との交渉内容が異なります。事前に流れを把握しておくことで、スムーズに売却を進めやすくなります。
①売却方針を決める
借地権売却では、まず「価格を重視するのか」「売却スピードを重視するのか」を整理し、売却方法を決めます。
借地権は売却方法によって、手続きや交渉相手、交渉条件が異なるのが特徴です。
地主売却:地主との直接交渉
第三者売却:地主の譲渡承諾
専門業者売却:買取形式
手続きの負担や売却までの期間も変わるため、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
②査定を取る
売却方法の方向性が決まったら、複数の不動産会社へ査定を依頼しましょう。
借地権の価格は契約条件や土地の状況によって変わるため、複数社の査定額を比較して相場を把握することが大切です。
| 売却方法 | 市場価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| 地主への売却 | 低め | 地主との個別交渉で価格が決まる |
| 第三者売却 | 市場価格ベース | 市場で買主を探す |
| 借地権専門業者 | 低め | 買取価格を前提とした査定 |
地主へ売却する場合でも、事前に査定を取っておくことで、提示された価格が適正か判断できます。
③地主と交渉する
相場を把握したら、地主へ売却するのか、第三者への売却承諾を得るのかを含めて交渉を進めます。
まずは地主に借地権を買い取る意思があるか確認しましょう。価格や条件について合意できれば、地主への売却を進められます。
地主に買取意思がない場合は、第三者への売却に向けて譲渡承諾を得るための交渉を行います。
第三者への借地権の売却には、原則として地主の承諾が必要です。(参考:借地借家法第19条)
承諾料が発生する場合もあるため、あわせて確認しておきましょう。
④契約・決済を行う
売却条件がまとまったら、売買契約を締結し決済を行います。
地主承諾 → 売買契約 → 決済・引渡し → 名義変更 → 売却完了
決済では売買代金の受け渡しや名義変更などの手続きを行います。
すべての手続きが完了し、借地権の名義が買主へ移転すれば売却完了です。
借地権を少しでも有利に売却するポイント
借地権を少しでも有利に売却するためには、売却前に相場を把握し、売却方法を十分に検討することが重要です。
| ポイント | 価格 | 売却戦略 |
|---|---|---|
| 複数社に査定を依頼する | 査定価格を比較できる | 適切な売却方法を判断できる |
| 地主交渉の前に相場を把握する | 不利な価格交渉を避けやすい | 交渉の判断基準を持てる |
| 売却方法ごとの条件を比較する | 価格差を把握できる | 最適な売却方法を選びやすい |
同じ借地権でも、売却方法や交渉の進め方によって手元に残る金額が変わることがあります。少しでも有利に売却するためのポイントを確認しておきましょう。
複数社に査定を依頼する
借地権を有利に売却するには複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
借地権は査定する会社によって査定額や売却方法が異なります。
複数社の査定を比較し、価格相場や提案される売却方法、地主交渉のサポート内容も含めて判断するのがポイントです。
- 借地権の価格相場を把握
- 売却方法(地主・第三者・買取)を比較
- 地主交渉に強い会社を見極められる
地主交渉の前に相場を把握する
地主との価格交渉では、相場を把握しているかどうかで結果が大きく変わります。
相場を知っておくと提示された価格が適正か判断でき、低価格での売却を防げます。
事前に査定を取り、価格の目安を把握したうえで交渉に臨みましょう。
- 提示された価格の妥当性を判断する
- 借地権の価格相場を確認する
- 安値売却を防ぐための交渉材料にする
売却方法ごとの条件を比較する
借地権売却では、売却方法ごとの条件を比較したうえで選ぶことが大切です。
同じ借地権でも、売却方法によって売却価格や売却スピード、必要な手続きが異なります。
- 地主売却 → 売却成立しやすいが価格は低め
- 第三者売却 → 高値の可能性があるが地主承諾が必要
- 専門業者売却 → 売却しやすいが買取価格は低め
価格だけでなく、売却までの期間や地主との交渉の負担も考慮して選びましょう。
また、第三者売却では承諾料や仲介手数料が発生する場合もあるため、売却価格だけでなく最終的に手元に残る金額まで比較することが重要です。
借地権売却におすすめの不動産一括査定
借地権の売却では、所有権不動産とは評価方法や買主層が異なるため、複数の不動産会社での比較査定が重要です。
比較検討しやすい代表的な一括査定・不動産サービスは以下の3つがあります。
| 比較項目 | すまいステップ | すまいValue | HOME4U |
|---|---|---|---|
| サービスの特徴 | 優良企業のみを厳選。担当者の質を重視。 | 超大手6社への直接依頼。権利調整のプロ集団。 | NTTデータ運営。審査が厳しく、老舗・実力店が多い。 |
| 提携会社数 | 全国2,000社以上 | 超大手6社 | 約2,500社 |
| 対応エリア | 全国 | 全国 | 全国 |
| 借地権対応の有無 | ◎ | ◎ | ◯ |
| 同時売却の調整 | ◯ | ◎ | ◯ |
| 地主交渉サポート | ◯ | ◎ | ◯ |
| 向いている人 | 地主交渉を経験豊富な営業担当者に任せたい人 | 相続が絡む「複雑な借地権」を抱えている人 | 相談先がわからない地方物件や古い家の人 |
査定額や提案内容を比較し、自分に合った売却方法を検討してみましょう。
すまいステップ|借地権売却に強い担当者で安心
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | すまいステップ |
| 運営会社 | 株式会社Speee |
| サービス内容 | 厳選された優良不動産会社・担当者に限定した不動産一括査定サイト |
| 利用料金 | 完全無料 |
| 提携会社数 | 全国2,000社以上 |
| 対応物件 | マンション、一戸建て、土地、ビル、店舗、倉庫など |
| 所要時間 | 最短60秒(Webフォーム入力) |
| 比較可能数 | 最大4社 |
| 対応エリア | 全国 |
| 公式HP | https://sumai-step.com/ |
| 特徴 | 所有権移転率No.1:査定後の実売却に至った割合で1位を獲得 エース級の担当者限定:売買経験5年以上、100件超の実績などの基準をクリアしたプロが対応 スピード成約:業界平均より約1ヶ月早い売却スピードの実績 |
すまいステップは、一定の実績基準を満たした、質の高い担当者のみを紹介する不動産一括査定サイトです。
査定担当者に「宅建士保有」「売買仲介実績100件以上」などの独自基準を設け、不動産比較サイト調査(参考:すまいステップ 公式サイト)では所有権移転率で第1位を獲得しています。
また、評価の低い会社を排除する『イエローカード制度』や、税制・売却相場を解説した専門家監修の記事が提供されているのも特徴です。
すまいステップの強みや選ばれる理由
- 成約につながる高精度の査定価格の提示が可能
- 売買経験5年以上エース級のプロからアドバイスを受けられる
- 強引な勧誘を防ぐ制度があるので安心して利用できる
- 査定から所有権移転までの平均日数が約106日と短期間での成約率が高い
すまいステップがおすすめな人
すまいステップは地主との交渉を経験豊富な営業担当者に任せたい人におすすめです。
「売買経験5年以上」「累計100件以上の実績」などの基準を満たした担当者のみが紹介されるので、複雑な権利関係の調整にも対応しやすいのが特徴です。
またコンプライアンスを重視した会社が選ばれているため、地主との関係を壊さない丁寧な対応を求める方にも適しています。
すまいValue|大手6社運営で初めての借地権売却も安心
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | すまいValue(すまいバリュー) |
| 運営会社 | 大手不動産会社6社の共同運営 三井のリハウス、住友不動産販売、東急リバブル、野村の仲介+、小田急不動産、三菱地所ハウスネット |
| サービス内容 | 大手6社にまとめて査定依頼できる不動産一括査定サイト |
| 利用料金 | 完全無料 |
| 提携会社数 | 6社 |
| 対応物件 | マンション、一戸建て、土地など |
| 所要時間 | 最短60秒(Webフォーム入力) |
| 比較可能数 | 最大6社 |
| 対応エリア | 全国対応(全国835店舗 ※2024年度時点) |
| 公式HP | https://sumai-value.jp/ |
| 特徴 | トラブルなく取引できたと回答したユーザーは95.5% 成約件数は年間11万件以上(2024年度実績) 71.3%が3か月以内に成約 FP相談や相続支援などの付帯サービスがある 参考:すまいValue 公式サイト |
すまいValueは、大手不動産仲介会社6社が共同で運営している一括査定サービスです。
借地権売却では地主との交渉や権利関係の整理が必要になるケースもありますが、大手仲介会社へ直接査定を依頼できるため、複雑な案件でも相談しやすいのが特徴です。
自社のユーザーアンケートでは、95.5%が「トラブルなく安心して取引できた」と回答しており、大手仲介会社に直接依頼できる安心感が評価されています。
またFPや税理士による相談会や不動産知識を解説した「すまいValueマガジン」などのサポートも充実しています。
すまいValueの強みや選ばれる理由
- サイト自体を不動産仲介のトップ企業6社が共同で運営している
- 膨大な成約データに基づいた「精度の高い査定」で早期売却の可能性が高い
- 大手各社が独自に提供する売却サポートメニューがそのまま適用される
- 利用者アンケートでの信頼度95.5%(参考:すまいValue 公式サイト)
すまいValueがおすすめな人
すまいValueは地主との交渉に不安がありつつ、高値売却を目指す方におすすめのサービスです。
すまいValueを運営する6社はいずれも大手不動産会社で、組織力や法務体制が整っています。
個人の不動産会社では対応が難しい「気難しい地主」や「寺社・法人」との交渉も円満な合意ができる可能性が高いです。
HOME4U|借地権に強い専門会社とのマッチング力
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | HOME4U(ホームフォーユー) |
| 運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング(NTTデータグループ) |
| サービス内容 | 不動産一括査定サービス |
| 利用料金 | 完全無料 |
| 提携会社数 | 約2,500社 |
| 対応物件 | マンション、一戸建て、土地など |
| 所要時間 | 最短60秒(Webフォーム入力) |
| 比較可能数 | 最大6社 |
| 対応エリア | 全国対応 |
| 公式HP | https://www.home4u.jp/sell/ |
| 特徴 | 2001年から運営されている不動産一括査定サイト NTTデータグループ運営で情報管理体制に強みがある 抵当権付き物件の相談実績もある 大手から地域密着型まで幅広い不動産会社と提携している |
HOME4U(ホームフォーユー)は、マンション・戸建て・土地の売却に対応した不動産一括査定サービスです。
全国の不動産会社と提携しているため、借地権売却に対応できる会社を効率よく探せます。
2001年にサービスを開始した日本初の不動産一括査定サービスで、20年以上の運営実績を持つ信頼性の高いサービスです。
HOME4Uの強みや選ばれる理由
- NTTデータグループ運営、Pマーク取得の信頼性
- 業界初(2001年〜)の業界最長実績
- 悪質な不動産業者を排除するパトロール制度
- 宅地建物取引士などの専門スタッフがサポート
HOME4Uがおすすめな人
HOME4Uは、どの不動産会社に相談すべきかわからない初心者にこそおすすめのサービスです。
提携先の質が高く、借地権の取扱実績がある会社と効率よくマッチングできます。
大手だけでなく地域密着型の優良企業とも提携しているため、エリア特性が強い借地権でも対応可能です。
地主への借地権売却でよくある質問
借地権の売却では、地主との交渉や承諾料、税金など、通常の不動産売却とは異なる点があります。
売却前によくある疑問を確認し、不安や疑問を解消しておきましょう。
地主への借地権売却ではどんなトラブルが予想される?
地主への借地権売却時は、価格交渉や買取条件をめぐるトラブルが起きやすいです。
地主には借地権の買取義務はなく、価格も交渉で決まるため、希望価格や条件が一致せず交渉がまとまらない場合もあります。
地主との関係が悪い場合や交渉が進まない場合は、借地権専門業者や借地権に強い不動産会社へ相談することも検討しましょう。
地主に借地権を買い取ってもらうと税金はかかる?
はい、譲渡所得税がかかる可能性があります。
借地権の売却時も通常の不動産売却と同様に、売却益がでた場合は所得税・住民税の課税対象になります。
売却価格から取得費や譲渡費用を差し引き利益が出ない場合は、課税されません。
地主は借地権を買い取る義務がある?
いいえ、地主に借地権を買い取る義務はありません。
借地権の買取は地主の任意判断です。
地主が買取を希望しない場合は、第三者売却や借地権専門業者への売却を検討してください。
借地権だけでも売却できる?
はい、借地権だけでも売却は可能です。
ただし、借地権だけでは市場での売却が難しいため、建物との同時売却が一般的です。
また、第三者へ売却する場合は地主の承諾が必要になる点も注意しましょう。
承諾料はいくらかかる?
承諾料は借地権価格の10%前後が目安です。
ただし実際の金額は契約内容や地域、地主との交渉によって異なります。
契約書に承諾料の規定がある場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
借地権は地主へ売却可能!相場を把握して最適な売却方法を選ぼう
借地権は地主へ売却できますが、地主には買取義務がありません。
また、売却価格は借地権割合や契約内容、地主との交渉によって決まります。
地主への売却が難しい場合は、第三者への売却や借地権専門業者への売却も選択肢になります。
| 売却方法 | 向いているケース |
|---|---|
| 地主へ売却 | 早く売りたい・地主とのトラブルを避けたい |
| 第三者へ売却 | できるだけ高く売りたい |
| 借地権専門業者 | 地主が非協力的で売却が難しい |
借地権売却を成功させるためには、まず相場を把握し、自分に合った売却方法を選ぶことが大切です。
そのためにも、複数の不動産会社へ査定を依頼し、査定額や売却方法の提案内容を比較してみましょう。
地主との交渉方針や売却の進め方まで確認することで、納得できる条件で売却できる可能性が高まります。